最近、『けものフレンズ』というアニメーションが話題だそうです。
このアニメを教えてくれた、
アニマンダラ・シリーズレクチャー東京で
サポートスタッフをしてくれたR君によると
アニマンダラ的な世界に重なってくるかもしれないとのこと。
こういう絵柄や、まったりなノリはちょっと苦手ですが
気になる設定もあり、2話ほど早速チェック。
観た範囲では、まだ何とも言えませんが
動物の "擬人化" にどんなメッセージがあるのか?
という部分で、もしかしたら
アニマンダラと重なる部分もあるかもしれません。
気になるのは、その世界で唯一の人間である主人公と
人間化した動物たちとの関係です。
もう少しチェックしてみようかと思います。
Animandalaの中核となる概念の一つに
動物の "種" と自我を重ね合わせる
【種我同型論】という考え方があります。
動物の種の多様性は
人間の自我の多様性 (個性) と相関性があり
人間は自我によって、全動物に匹敵する多様性を持っている。
私たちの様々な個性は、動物の "種" の反映でもあるというものです。
[種我同型論]参考
▼TEDxTokyo yz プレゼンテーション
アニマンダラでは、種我同型論を背景に
トカゲ型人間、トラ型人間、そんな話題がしょっちゅう飛び出すし
動物たちを、"あの人たち"、"彼ら"、などと呼ぶことも良くあるので
R君が『けものフレンズ』を勧めたのも、わからなくはありません。
最近は『けものフレンズ』だけでなく
たとえば映画『ズートピア』のように
動物を擬人化することで人間の本性を描いたり
あるいは反対に、『テラフォーマーズ』のように
人間を動物化して、"生きる"ことの
本質に迫ろうとする作品も増えてきました。
テラフォーマーズには、
M.O.手術によって様々な動物の特性を手に入れた
火星探査員が登場するのだけど
特に興味深いのは、ランキング1位が
何動物をベースにしたか謎で
"人間" の完成形だと表現されていること。
そして、複数の動物の特性を
ヒーローズのピーターやサイラーが
他の超能力者の能力を吸収するように
自分のものにできることでした。
この人間に対する考え方は、象徴的な意味で、
ですが、種我同型論と通じる部分があります。
他にオススメの作品は、既に連載は終わっていますが
『金色のガッシュ!!』の作家、雷句誠さんの
『どうぶつの国』。
月間連載で知名度が低く、
商業的には成功したとは言えませんが、名作です。
昔から、動物は個性が際立っていて、ユニークだったり
可愛かったり、キャラが立てやすいので、擬人化されてきました。
しかし最近は、それだけでなく、
まじめに動物の生態について考察した上で擬人化し
生きることの意味や意義を重ねて
問いかける良作が生まれてきています。
エンターテイメントとして
メタファーに留まっている部分があるものの
優れた感性を持つクリエーターの作品は
アニマルメディスンや種我同型論と通じる部分があり、興味深いです。
こうした作品に魅力があるのは
動物の種が、もともと特定の "生き方" を
シンボリックに表現しているからです。
犬には犬の
ライオンにはライオンの
カエルにはカエルの生態があり
"生き方" があります。
動物は、"種" = 生き方。
だから擬人化によって、動物と登場人物が重なることで
そのキャラの生き様や個性を際立たせ、力強く表現できるんです。
また、動物の多様な生き方や可能性に目を向けることは
生きることの本質や、様々なヒントにもつながります。
野生動物とともに生きたネイティヴアメリカンにとっては
そのような視点は、とてもオーソドックスで
そして同時に、根源的な知恵に繋がる深いものでした。
彼らは、自分の本質を知るときや
生き方に迷ったとき、
自分の守護動物のあり方とつながり
力をもらっていたのです。
それは、動物、つまり生命を通して
自分や、人生、世界の本質を見つめるメソッドであり
アニマルメディスンと呼ばれていました。
アニマルメディスンは、
実践的な動物の "人間化" であり
人間の "動物化" ということができます。
こうした知恵は、もともと様々な形で世界中にあったものです。
しかし、今では殆ど失われてしまいました。
でも人間が "生命" を見失いはじめた今だからこそ
新たな形で、それを思い出し
取り戻する時が来ているのではないでしょうか。
種我同型論は、
動物の種と人間の生き方を重ねる擬人化が
単なるメタファーにとどまらず
生物進化的にも、心理学的にも
また哲学的にも
本質的な意味を持つという考え方をしています。
本気の擬人化動物、ですね。笑
現代的で実践的な、人間の動物化、
動物の人間化を目指すものです。
また、最近こんな本も出ました。
LIFE<ライフ> 人間が知らない生き方
生命と人生が『ライフ』という言葉で
重ね合わされているのが小憎いです。
これにはちょっとやられました。
種我同型論やアニマルメディスン関連の
副読本として、オススメです。