アニマンダラ★生命の己読みBLOG

生命進化に見るココロのカタチ・アニマンダラ関連の事項を綴ります。

見えない生命圏の囁き

 

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アニマンダラは アニマル+マンダラ ということで

いつもは、主に動物を中心に話を展開しています。



動物の話題を中心にしているのは、生命の森は広大で

主軸を定めないと散漫になり、生命の森に迷うから。



でも、生命原理で人間や宇宙を語ってみる



それがアニマンダラなので

その視野は、動物界にとどまるものではありません。



ということで、今回は動物の森から一歩出て、菌界のお話。

 

 

 見える生態系と隠された生態系



アニマンダラ本編では、

全体の系統樹として 万物系統樹 というものをご紹介しています。

 

 

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いつもアニマンダラで話題にしている



動物 → 人間(動物種としての)

人間(動物種としての)→ ヒト(超人・真我)

 
 
は、万物系統樹の中で、人間と連続している

フラクタルな鋳型の一単位 になっています。(図の青い部分



そして同じような 反復構造として、しかし

より潜在的な、プリミティブな階層 として広がっているのが

赤枠の、細菌・菌の領域 。つまり 微生物の世界 です。

 

アニマンダラ に対応して、とりあえずここを

セルマンダラ と呼んでいます。

 

動物の領域は、ミジンコ(甲殻類)などのように

小さいものもいますが、基本的には 目に見える生態系

 

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一方、赤い領域は、

キノコや粘菌、カビ など目に見えるものもいますが

酵母や麹菌 のように粉のようなもの、そして、細菌 など


目に見えない微生物がベースの生態系領域 です。

単細胞生物の領域から多細胞生物への細胞進化の領域

なので、セルマンダラ と名付けました。



” 菌 ” という言葉は元々は  ” 茸 ” を意味する言葉でした。

生物学的にも、キノコ、カビ、酵母 を意味します。

 

 

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しかし、一般に ” 菌 ” は、どちらかというと

病原菌など、細菌やウイルスを連想 することも多い

ですよね。現在、生物学では 細菌と区別 するために

菌類を 真菌類 と呼んだりします。



それらを一括りに、私たちは ” 菌 ” と呼びますが、

そこには、目に見える生態系である、動物界・植物界全体と

同等かそれ以上の多層で多様な世界が広がっています 🍀




下にあるものは 上にあるものの如く

  上にあるものは 下にあるものの如し

 


この世の目に見える事物(上)は

目に見えない事物(下)と表裏一体・・・



まさに錬金術の根幹をなす概念と同様、

目に見えない潜在的な世界に、顕在世界の写し絵があった のです。

 

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1670年代初頭、顕微鏡を手にした、レーウェンフックが

「アニマルクル(微小動物)」と名付けた小さな生きものを

初めて目撃するまで、極小の生態系は、

少なくとも共通認識としては " 存在 " していませんでした。




雨水一滴の中に「 無数の小さなウナギかミミズのようなもの(細菌のこと)

が寄り集まってうごめき、まるで水全体が生きているかのようだった 」



フックが円筒形の筒を覗いたとき、そこに広がっていたのは

誰にも ” 見られた ” ことのない生態系 でした。



彼は、発見した知られざる世界を人々に知らせようとしました。

 

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それが微生物学の始まりでしたが、

最初は頭がおかしくなったと相手にされなかったそうです。



今では当たり前ですが、目に見えない世界に ” 動物達がいる ”

なんてことは、当時の人にはありえないことでした。



特に最初、彼は歯垢とかで菌を発見していますから

 

口の中に沢山の生きものなんているわけ無いだろ!! ボケェ!! 

 

と、ツッコミ必須の状態だったわけです。



ところが顕微鏡で覗けば、誰もがそれを納得することになりました。


 
その後の研究で、彼が想像したより遥かに多様で豊かな

様々な生態を持つ微生物達が存在していることが明らかになりました。



動物界・植物界に匹敵する生態系が、見えないミクロ空間に存在していた のです 💡

 

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アニマンダラ的には、



動・植物次元 ➡ 人間次元 の関係に相当する領域が

細菌次元 ➡ 菌次元 といったところです。



人間の自我にとっての下のもの・・・が動物種 であるように( 種我同型論

更に、種と自我全体の下のもの・・・が細菌と菌の領域 になります。



見えない世界は、見える世界の水鏡の水面下、あるいは、

木々の枝葉と大地に広がる根の関係のようになっているわけです。



動物の階層の理解は、人間の自我パターンの土台となる、情動や

シュタイナーが語るところの、アストラル領域を “ 見える化 ” してくれ

生きる上での囚われのパターンの理解を助けてくれます。



それに対して、菌の領域は更にひとつ潜在化した階層、

より存在論的な情報を、鏡として教えてくれる領域 と考えられます。

 

 

菌が霊だった時代

 

 
先程、目に見えない生態系が顕微鏡とフックによって

初めて ” 発見された ” といったことを書きました。

光学的に肉眼で目撃され、それが私たちと同じ

” 生きもの ” として認識された のは、フックが最初です。



しかし、概念として、目に見えない ” 存在 ”

小さな ” 生命 ”、もしくは それに類する存在

人々はそれ以前から、ずっと感じ取っていました。



人を病にしたり、物を腐らせたり(腐敗)

あるいは、放置した蜂蜜をお酒にしたり(発酵)

するのは、目に見えない ” 存在 ” がやっていること



ただ、それは菌とは呼ばれず、

” 悪霊 ” や ” 精霊 ” あるいは ” 悪魔 ” など

霊的なものと見做されたのです。



病気を、霊や悪魔、精霊と考えるのを

迷信的世界と片付けるのは簡単です。

しかし、ことはそう単純ではありません。



かつてのハーバリスト達(キリスト教圏では魔女と呼ばれてしまった

ヨーロッパ圏のシャーマンたち)や、先住民の呪術師達の中には

 

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例えば、腹痛に対して



○○という霊が腹痛を起こしているが、その悪霊は×××という

植物を絞ったものが大嫌いで退散する・・・



といったようなコンテクストで治療を施したとき、それが

現代科学以上に適切な薬草の処方で、しかも偶然などではなく、

体系的な知になってる、というような例があります。



つまり、菌を霊として理解し、霊として対応することが

科学的にも正しい答えを導いた のです。



つまり、菌 = 霊  が、必ずしも未開の迷信とは言い切れないのです。



アマゾンの民俗植物学者、マーク・プロトキンは

アマゾンの孤立した民族のシャーマン達が

神話的概念による処方によって

適切な医療処置を施している例を多数報告しています。

 
 
上記の表現は、単純化していますが、彼らは菌という概念を持たず

” 霊 ” としての文脈で、問題と向き合い適切に解決しているのです。

 

www.ted.com

▲TEDに登壇した時のプロトキン



人間は、“ 霊 ” という概念を持つことで、菌を ” 見る ” 前から

見えない生命力に対して適切に対応していた わけですね。

 


また、悪霊・病とは反対に、良い霊とされるものや

小さな精霊、神の働きのお陰様が、発酵 です。

 

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良い霊や神が喜ぶように環境を整えると、

食べ物はより美味しくなり、栄養価が上がり、腐らない・・・。



お酒は、旧石器時代からあったといいます。

酵母菌や麹菌が発見され、その働きで発酵が進むことがわかる

はるか前から、酒文化、発酵文化は発達していました。



その発展の初期段階で、神話的解釈が適切に

機能していたであろうことは確かでしょう。

 

昔から人々は体感的に、目に見えずとも生命の本質を見抜いていた のです。

 

そこには霊と菌が一つに重なり合う豊かな風景があります。

 

 

漫画に見る菌と霊

 

  

菌と霊が重なる世界。

 

それが表現されている。

 

そう感じられる人気漫画が2つあるので、ご紹介します。📗

 

有名なので、ご存知の方も多いと思いますが

 

ひとつは、石川雅之氏作もやしもん 』 



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morning.moae.jp



この漫画の主人公、沢木君は、種麹屋の跡取り息子。

 

子供の頃から肉眼で菌を見たり会話することができるという

特異体質の持ち主。その体質に悩みながらも、

農大に進学してキャンパスライフを送るという漫画です。

 

沢木君は、変人の教授や仲間、そして菌たちに囲まれて

発酵蔵の問題や、病原菌に対応したりしながら、

悩みのタネだった自分の能力の活かし方に気付いていきます。

 

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ユニークな設定で、はじめは驚きましたが

彼が菌という概念がない時代にもし生まれていたなら

菌を精霊みたいなものだと解釈したに違いない、と気が付きました。


 

菌と理解できなくても、菌とコミュニケートし適切に対処できる。

時代が時代で、良い指導者がいたら、

きっと優れたシャーマンになったことでしょう。

 

『もやしもん』は、その意味で

伝統的シャーマニックな能力が、

現代風にアレンジされて表現されたもの、

と見ることが出来るでしょう。

 

もう一つの漫画は、原友紀作の 蟲師

 

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sokuyomi.jp

 

 

雰囲気や世界観、主人公の性格は

全く違いますが、ギンコと沢木が重なります。

 

『 蟲師 』のギンコは、様々な事象を引き起こす

” 蟲 ” に対処していくことを生業にしているシャーマン的人物。

蟲は幽玄な存在で、一般の人には見ることが出来ません。

生命現象の根源的な存在で、シャーマニックな風景を

オリジナリティあふれる独特の表現で描いています。


蟲師の蟲は、粘菌や菌糸を連想させるものが、よく登場します。

 

もやしもんの沢木は、自分の才能の活かし方を知らず

現代で迷子になっていますが、菌の研究者(変人)との

出会いで、自分の活かし方を発見していきます。



一方ギンコは伝統的な文化を継承して

いわば運命・宿命に従って、時に抗いながら生きています。



この2つを併せて読むと、同じ資質を持ちながら、

違う文脈に生きる様子を比較できるように感じられます。

 

菌と霊の重なりがイメージできるのではないでしょうか。

 

 
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ちなみに、前述したマーク・プロトキンは、

著書 『 シャーマンになった民族植物学者 』 で

樹教授が沢木の才能を利用するのに似て、

欧米の薬学者が、アマゾンのシャーマンの知識を利用しようとしている

そんな様子を報告しています。


 


アマゾンの植物や動物は、薬効が研究されていない種が沢山います。

それを場当たり的に研究していたのでは大変なんですね。



アマゾンのシャーマンは

動植物や精霊(菌)と会話し、悪霊(菌)の対処を知るわけですが

科学者はショートカットするために

昔からそれを知っているシャーマンの知識が欲しいのです。



菌と霊。一見、異なる概念ですが、

この両者はある角度で深く重なり合っています。



そんなふうに、菌について思いを巡らすと

世界が少し変わって見えて、豊かになるのではないでしょうか。

 


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アニマンダラでは、


動物の生態系は、自我と深い関係がある と見ていますが

見えない菌の世界は、より深層の潜在意識や

根本の生命原理を浮かび上がらせてきます。

 

 

動物 - 人間 の間にある、同型対応性が種と自我 なら

菌 - 人間 の間にあるのは、いわば菌と霊の同型対応性


といったところでしょうか。



動物種の生命系統樹が自我発達のプロセスの地図 となるならば

菌の生命系統樹は、より潜象的な精神領域の地図 となるのではないか・・・。

 

 

それが、セルマンダラ の世界です。

 


▼ 菌から動植物までの系統樹
(アトリウムでは、よりシンプルでわかりやすいものを公開します。)
 

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以前から、アニマンダラ本編が一区切りしたら

菌についても話そうと、ずっと考えていましたが

ようやく来月から、それをスタートできることになりました。

 

 

アニマンダラレクチャー参加者も、

そうでない方も、菌に興味があれば大歓迎…⭐️

 

 

菌にまつわる、かなり広い話をすることになるかと思います。

 

 

アニマルメディスンならぬ、セルメディスン 始まります ✨

 

アニマンダラ・アトリウム Cell-Mandala 全三回 | Animandala

 

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