アニマンダラ★生命の己読みBLOG

生命進化に見るココロのカタチ・アニマンダラ関連の事項を綴ります。

火と水の生命ダイナミズム

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◯ 生命は燃え上がる水である。

 

生命とはなんだろう?

  
文脈によって様々な定義がありますが、科学的に通用する表現としては
 
 
『変化をすると同時に自己を維持し、子を残して増殖する存在』
 
 
要するに、生命活動をする存在ってことなんです。


アニマンダラが立ち上がる少し前。

今から15年ほど前のことですが、

 
生命活動の本質は何だろうか?と考えた時に
 
 
パッと、水中で燃え上がる炎のイメージがわきました。

 
水中で火が消えることなく燃え続け

周囲の水が沸騰し泡となって、水を押し上げ続け

上昇する流れを作っている。


それが、生命活動そのものの象徴なんだ。


そこで、これだ〜と思い

もう一つの生命力のシンボルで、

歴史的には水とも火も結びつけられる龍と共に

生命をシンボライズする画像を描きました。
 
 

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この絵は周囲の青が深海を表し

その中で紅竜が、螺旋を描いて上昇しているという絵です。

また、このイメージは、"海中の太陽" を暗示してもいます。
 
 
火は、水で消えるもの。

水中で燃え続ける炎というのは、矛盾した表現なのかもしれません。
 
 
しかし、生命は

それ以外のものとは方向性の異なる回路を持ち

そうした矛盾を表現する存在でもあります。

( エントロピーとネゲントロピーなど )
 
 
水の中で、消えることなく燃え続け

泡立ち、沸騰し、水を押し上げ続ける存在。
 
 
火が生命力で、沸き立つ泡や、水の流れが生命活動です。

その火がもし、水の圧力が強くて消されてしまえば

それは死を意味することになります。


一方で、水は生命活動の触媒であり

すべての生命の体は水分に満ちています。
 
 
人間の身体の60%は水分です。

クラゲに至っては99%が水分です。

生命の身体はウェットな存在なんです。


ですから、水が少なく、火が水を全て蒸発させてしまうと

火は、その "身" を焼き尽くしてしまい、これも死んでしまいます。


つまり生命とは、

身体という"水"に閉じ込められた力火に突き動かされた存在といえます


水と火の拮抗であり、火に突き動かされる、水なんですね。
 
 
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◯ 生命エネルギー=火


 
火とは、燃焼の結果現れる光のことです。

火がそこにある時、燃焼が起きています。
  
 
また、激しく燃える火だけでなく、赤く光る炭火も燃焼しています。
   
 
『燃焼』ということは科学的には、以下のような意味があります。


有機物 ( 炭素 ) などが酸素と激しく反応し、エネルギーを放出する強い酸化反応。
狭義には、光や熱を放つ強い反応だが、鉄が錆びて熱を出すような反応や
生物が、有機物と酸化反応しエネルギーを取り出すことも、燃焼の一つ。
また、広義には酸化以外の化学反応で熱エネルギーを発生するものも含む。


そうなんですね。

モミモミすることであったかくなるホッカイロ。

あれは、錆びていく酸化を激しくさせ

熱として利用しますが、鉄の緩やかな燃焼なのです。


同様に私たちが体温を持っているのは

食べ物を燃焼させて熱に変換させているから。

その熱エネルギーが、生命活動の活力そのものになっています。
  

木が燃えるのも、食べ物が燃焼するのも

どちらも炭素化合物が酸化して

エネルギーを放出しているという全く同じ現象。

それは程度の違いとも言えます。
  
 
変温動物や植物には体温は感じられませんが

それは、外界の温度も利用しながら

生きる上での最低限のエネルギーを作り出しているため。


植物の場合は食べる代わりに、光合成によって

自ら生成した糖 ( 炭素化合物 ) を燃焼させています。


哺乳類や鳥類などの、体温が高い恒温動物は

外気温に左右されずに活動できるように

より多く食べて、激しく燃焼させているからに他なりません。

つまり、体内にストーブを持っているんですね。


すべての生物が、まさに活力としての "火" を持っているのです。
 
 
生命といえば

生命は海から生まれた』とも言われるように

水との結びつきは誰でも連想できると思いますが

実は燃えてこその生命、ということになります。
 
 
水に先立って、火が必要なんです。

水が身体。火が生命力そのもの。
 
 
そもそも、最初の生命が誕生した場所というのが

まさに海中で燃え続ける炎、熱水噴出孔の周りだったとされています。

 

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まだ、酸素が地球上に殆どなかったとき

生命は、地球の炎が放出する熱を利用して

化学反応を促し、生命力を得ていました。
 
 
地球から吹き出す火の生命力が、水に包まれ

化学反応が進み、さらに有機物の幕が水を覆い

最初の生命となった。

そんなイメージを持って頂けると良いです。
 
 
火は、火災など

時として生命を奪う破壊的側面もありますが

そもそも、火の力がなければ "生きる" ことができません。
 

不死鳥が、火の鳥のイメージと結びついているのは、その意味で必然です。
  
   
また、ヨガなどでは火の呼吸というのがあります。

生命における燃焼は、有機物の酸化のことですから

火の呼吸というのは、実に道理に適った表現です。
  
  
そして、これは精神においても当てはめることができます。

 

人は、情 "熱" を失うと、活力を失います。


熱血なんて言葉もありますが、クリエイターは

例えば漫画などでは、目に火がついたり、背景が燃えたり

やはり活力と火が結びつく表現を昔からしていますよね。

感覚的にも、

私たちは生命力とは火の力だ、ということを知っているわけです。

 

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しかし、過ぎる熱血は

暑苦しくて人を困らせることもあるように

過ぎた情熱は、身を焦がします。
 
 
水の中の火。

周りは穏やかで、火の周囲だけが沸騰状態で全体としては潤っている

というのが生命としてはちょうど良い。

熱量が過ぎれば、生命は乾燥して、身体が機能しなくなります。

まさに身が燃えてしまうわけです。

その意味でも、生命は身体としての水に囲まれた、火なのです。


しかし、重ねて言いますが

水が多過ぎて、火が消えてしまえば生命力は失われます。
 
  
レクチャーで詳しく解説していますが

アニマンダラの観点で言えば

私たちは言語空間に自我という情報身体を持って生きる存在


人間の言語空間は、身体空間と重造して形成されていますから

意識においては、水は自我を形成する言語や概念、観念に相当します
 
 
翻って火と水の関係を精神として表現すると

火という情熱 ( 情動 ) や活力と

水という言語や観念世界の拮抗状態と見ることもできます。


ハワイのシャーマニズムに登場する『ウニヒピリ』は

内なる子供であり、妹神であり、動物意識であるとされます。

これは生命力と直接結びつけられますから、火に対応できます。


一方で、それをコントロールする『ウハネ』は

理性や、自我でもあり、

言葉と結びつけられるので、水に相当します。
 
 
通常の人間は、ウハネがウニピリを押さえつけてしまいます。
 
 
水が火を押さえこみ、炎を弱めてしまっている状態

そして、火を消してしまえば、これは精神の話なので

活力を失った生きる屍、ゾンビといったところでしょうか。
 
 
しかし、その反対で

成熟した精神は、ウニヒピリをウハネがサポートして

バランスが取れた状態として存在しています。
   
  
表面は穏やかな水ながらも

中には消えることがない炎が力強く燃え

内側は泡立って、活発な状態ですね。
  
 
それに対して

水が少なければ、蒸発してしまい、ウニヒピリが暴走します。

感情に任せて暴走した状態といったところでしょうか。


このように、身体的にも、精神的にも

水の中の火というのは、生命力の本質を表したシンボルと言えます。
 
 
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◯ 文明としての火



私たちは、体内の燃焼反応だけでなく

外部の火を利用できることで、他の動物とは決定的な違いを得ました。
   
 
いわゆる文明の火というやつです。
  
 
火の活用は、言語と同じくらい、動物と人間を分ける特徴の一つですね。
  
   
火を利用できるようになったことで、闇を払い

生では消化できない食べ物も食料にでき、獣を追い払い

極寒の時に暖かさを与えてくれました。

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さらには、鉱物を火にくべることで

青銅や鉄といった金属の使用も可能になります。

火は、内的生命力であると同時に、文明の活力でもありました
  
  
それゆえ、火を祀る宗教は少なくありません。
   
 
最古の一神教とされ、ユダヤ教をはじめ

様々な宗教に影響を与えたゾロアスター教

火を神聖視するためを拝火教とも言われています。
 
 
人間は、進化においては、裏の進化である

負け組進化を繰り返した存在ですが

この負け組進化の特徴には

外部を内部に取り入れる、というものがあります
 
  
人間の活動においては外部を内部にするというのは

制御できないものを制御できるようにするという意味も持ちます。
   
   
人間は、動物が制御できない火を使いこなし

文明の内部に取り込むことで、文明の活力としたのです。
   
 
現在でも、石油や天然ガスを利用する火力発電は主要なエネルギー源です。
  
 
生命が内的には扱えない、膨大な火の力を手にしたことが

まさにプロメテウスの火として、文明を発展させました。
 

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でも、先ほど書いたように、過ぎた火の力は身を焦がします
  
 
バランスするために、水の力、

言語による統制の力も強力になる必要があります。

具体的には法や政治など

より強力な言葉の力によってコントロールされます。
 
 
 
そして、人類は、更に外部の火を手に入れてしまいました
 
 
原子力です。
 
 
火力は生命がもともと使っている火の力の延長ですが

原子力は、星の火の力。

こんなものを扱おうとすれば、水の力はいよいよ暴走します。
  
  
津波はそれを暗示していたのかもしれません。
 
 
人間の意識においては、言葉の力の暴走につながるでしょう。
 
 
原子力村、原子力ありきの理論。
  
 
大き過ぎた外部の火を制御するために生まれる言葉の力は

人から本来の生命力としての火の力を押さえ込みます。
 

大き過ぎる文明の火は、生命力としての火を

ちっぽけなものにしてしまい、見失わせます。
 
 
その意味で反転した偽りの火として

水が変質したもの、とも言えるでしょう。
 
 
今は、生命力としての火が

最も押さえつけられてしまったピークなのかもしれません。
  
  
しかし、生命の本質は、水の中で燃え続ける火です。

抑えても、生きている限り消えることはありません。
 
 
そして火は、消えなければ

ちょっとしたきっかけでまた燃え上がります。
   
 
太極図の陰の中の陽が、次の陽へと広がっていくように。

燃える不死鳥の新たな火として。
 
 
水と火の陰陽のもつれ合いが

一つの生命としても、集団としても

あるいは地球規模の運動としても働いています。
  
  
水の中の火のイメージは

生命力の本質的な表現であると同時に

世界や宇宙を律動させる、根源的な陰陽のダイナミズムそのもの。
 

 
全ては生命力に動かされている、とも言える

そんなことを教えてくれるシンボルではないでしょうか。
 
 
そして、生命の火と水、文明の火と水、地球の火と水

それぞれ階層が異るように、そのダイナミズムは

火と水が入れ子のフラクタルになって展開していきます。